協会の主張・決議・要望

【07.05.15】勤務医が足りない!

低医療費政策のツケ 医療現場の実態を広く国民に

 急性期病院の勤務医が不足し、地域医療が崩壊し始めている。数年前から、小児科、産科の医師が不足し、診療科が維持できないことが表面化してきた。病院は、不採算であるため、安易にこれを容認してきた。我々は、この事態の主要な原因を、長年にわたる国の低医療費政策の結果であり、従って、特定の診療科に留まらない問題である、と指摘した。指摘通り、今や小児科、産科、麻酔科だけでなく、全ての診療科で勤務医不足が社会問題として顕在化した。「救急を受け付けられない曜日ができた」「里帰り出産おことわり」「産科休止で、出産を控え病院の近くへ」「1年間で勤務医が25%減少」などの事態となっている。
 ここに来て、国も勤務医不足をやっと認めたが、研修義務化の影響が主で、診療科の偏在、地域の偏在表面化しているが、2025年には医師数は過剰になる、当面は開業医にも時間外診療を受け持ってもらう、病院の一般外来をなくする、などとしている。
 マスコミも、従前の「医師数削減支持」の論調が影を潜め、「勤務医不足」の報道が圧倒的に多くなっているが、報道には勤務医より収入が良くて楽な開業を志向している、という誤ったニュアンスも感じられる。
 多くの医師は、国民の命と健康を守ることに生きがいを感じ、日々の診療活動に従事している。しかし、各種団体の調査で明らかになった病院勤務医の労働実態は、その生きがいさえ打ち砕く、過酷なものであることを浮き彫りにした。通常勤務後の当直、翌日の通常勤務という長時間連続勤務が常態化していること、週60時間以上が日本の医師の平均勤務時間で、先進諸国より10時間以上長く、年間200日近く当直を余儀なくされる例もある、うつ状態になり自殺する医師が増加している、等々、常識を逸している。
 では、開業医は収入も多く楽な仕事なのかと言えば、全くそうではない。ただ、自分の健康状態を念頭に、仕事時間を決めることが可能であるというだけだ。
 一旦崩壊した医療を再構築するには、イギリスを見るまでもなく、多大な国民の犠牲を伴う。アメリカでは、医療費の払えない患者を病院が追い出しているとも伝えられている。地域医療を守るのは、待ったなしである。勤務医は、今こそ一致して国民に医療の実態を知らせ、医療関係者とも一体となって、国の低医療費政策を変えさせ、地域医療を守るために立ち上がるべき時である。

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