あいち医師・歯科医師九条の会

【12.03.15】医師九条の会が第13回つどい

震災をテコに改憲の動きが

「あいち医師・歯科医師九条の会」は第十三回の集いを二月十八日(土)に名古屋クラウンホテルでひらき、医師・歯科医師や市民ら五十三人が参加した。
はじめに、山内一征代表世話人が挨拶し、野田内閣のもとで改憲につながる憲法審査会が動き出し、改憲のために必要な憲法上のハードルを低くする議論も行われることを指摘した。その上で、一般ジャーナリズムが取り上げない中で民主・自民・公明の大連立構想など政界再編とも相まって憲法をめぐる危険な動きが大きくなっており、学習を力に憲法を守る運動を発展させるためにさらなる協力をと述べた。

どうなる憲法、どうする憲法〜野田内閣となって
森英樹氏が講演

  つづいて、森英樹氏(名古屋大学名誉教授、あいち九条の会代表世話人、憲法学)が「どうなる憲法、どうする憲法〜野田内閣となって パートII」と題して講演した。昨年十月に同様の講演を行った際に、時間切れで積み残したテーマがあったため、改めて企画したもの。

惨事便乗型の改憲論
森氏は、憲法九条の現在として、「三・一一東日本大震災をテコにした改憲の再始動」に注意を促した。具体的には、新憲法制定議員同盟の大会が千四百人の参加で開かれ、鳩山元首相が顧問に復帰(昨年四月)、自主憲法制定国民会議大会や民間憲法臨調で「大震災・武力攻撃という『有事』に対応できない日本国憲法」と、震災を口実にした改憲論議が展開(同五月)、民主・自民各党も「非常事態法制」「緊急事態法制」などと憲法改正を伴う動きが活発化(五月以降)などの動きを紹介した。これらは、新手の改憲論であり、惨事便乗型ともいえるものだとした。
また、昨年十月以降両院での審議が始まった憲法審査会でも、「いかなる努力をしても防ぎきれない非常事態」には「首相に権限を集中して、人権を平時よりも制約することが必要」(山尾志桜里衆院議員・愛知選出)など、震災の“非常事態”を口実にした国民統制・改憲の必要性が議論されていると述べた。

世論に乗じたハシズム改憲論の危険性
そして、このような中で「日米同盟基軸」「豪州を含む三国同盟」「自力防衛力(自主武装論)」「首相公選制」「参議院廃止」などを提唱する橋下大阪市長らの改憲の動きが世論(Popular sentiment)の勢いに乗じて国政も窺っていることを取り上げ、「『世論』にはこういう危険な動きを後押しする場合もあり、気を緩めずPublic opinionとしての「輿論」を国民が身につける必要性も指摘した。

「改憲」できるまでは「壊憲」の民主党政権
次に森氏は、民主党政権のもとで、すぐには「改憲」にいたらないまでも「壊憲」につながる危険な動きを展開している例を具体的に紹介した。
それは、(1)南スーダンへの自衛隊出動問題(マスコミはPKOと報じるが現地の国連部隊はれっきとした軍隊であることや戦死者が出ていること)、(2)自民党政権でさえ守ってきた「武器輸出三原則」の事実上の撤廃(昨年十二月閣議決定)、(3)JAXA法改定による宇宙への軍拡、(4)秘密保全法法制化(同十月)、(5)国民総背番号制につながるマイナンバー制(今年二月)、(6)市民に暴力団を排除させる暴力団排除条例(東京・沖縄で施行、全国に)などがあるとした。

「トモダチ作戦」と「日米同盟」
森氏は、三・一一で展開された「トモダチ作戦」の実相を見る必要があると述べ、最初に投入された部隊は核戦争シミュレーションの部隊だったこと、日米ガイドラインに基づく米統合支援部隊と自衛隊統合部隊との「有事調整メカニズム」が発動したこと、作戦展開する米軍の写真報道は不許可だったことなどの例を挙げ、日米同盟深化と普天間問題解決への米側の圧力が強まったと述べた。
そして、日米安保条約六十年、日米同盟三十年の現在までを振り返り、一九八一年の「同盟」声明を前後して安保条約の再定義、日米防衛協力指針(ガイドライン)(九七年)、周辺事態法(九九年)など、日米が同盟関係を深化させてきたことを明らかにした。
森氏は、アメリカが豪州との連携強化や在沖海兵隊再編計画変更(グアム移転を先行)などアジア戦略を変化させていることや、自衛隊の対東アジアシフト(軍事的対決地域を西南地域と想定、中国・北朝鮮・ロシアを敵国と明記など)の動きを紹介し、日米同盟の深化のもとで新中期防衛力整備計画(二〇一一年四月〜一六年三月)が震災復興必要額と同規模の二十三兆四千億円もの規模になっていることは問題と述べた。
最後に、世界の動向は中近東での政変や「ウォール街を占拠せよ」に象徴される欧米での新自由主義・格差拡大批判の市民運動の広がり、中南米での相次ぐ反米政権成立などの動きがあり、「米一極支配構造の後退を示すものであり、アジアの一員として日本がアメリカに全面追随するのはグローバルには孤立の道」と批判、「日本は憲法九条をもつ国として、『東アジア共同体』のような別の道を模索できるのでは」と述べた。

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