あいち医師・歯科医師九条の会

【11.11.05】森 英樹氏を招き講演会

「どうなる憲法、どうする憲法―野田内閣となって」

  「あいち医師・歯科医師九条の会」は、10月22日、第12回憲法のつどいを協会伏見会議室でひらき、医師・歯科医師ら61人が参加した。
 山内一征世話人代表が開会挨拶に立ち「『憲法審査会は始動させない』と公約して政権についた民主党が野田政権のもとで初会合を開き、参院の会長(自民)が『党是として憲法改正を掲げており、議論の土台作りに力を尽くしたい』と危険な発言もしている。原発問題で国民の意識も変化している今、学習を力に憲法を守る取り組みを進めたい」と述べた。
 次に、森英樹氏(名古屋大学名誉教授、あいち九条の会代表世話人、憲法学)が「どうなる憲法、どうする憲法―野田内閣となって」と題して以下のように講演した。

改憲派の素顔を封印
 野田首相は、自らをドジョウと呼び、謙虚で腰の低い印象を出して国民の好感をよんでいるが、「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」(2005年・質問主意書)、「私個人としては小選挙区300人だけでいいと思っている」(『民主の敵』新潮新書・2009年)、「集団的自衛権行使は容認すべし」「自衛隊派兵恒久法の制定が必要」「憲法九条はもちろん改正すべき」「私は新憲法制定論者だ」(『民主の敵』)などの言動がある。これから見ると「改憲派」であり、大連立・大増税路線であること、原発再稼働発言などと合わせると、自民党路線への回帰、マニフェストの放棄、事実上の大連立派であるが、その姿を「封印」している。これには「政治家として詐欺。不誠実」との批判もある。

憲法のこころで大震災・原発事故を診る
 大地震・大津波は防ぎようのない「天災」だが、震災・原発事故は防ぎ得た「人災」の面がある。東電は「想定外」を盾にするが、「天災―被災者―損失補償」に対して「人災―被害者―損害賠償+原状回復」を求める権利が存在する。
 大震災に対して日本国憲法が示すことは、憲法13条「生命(life)・自由・幸福追求」の権利、憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む(living)」権利、そして憲法前文「平和のうちに生存する(live in peace)」権利は、日本語では別の意味合いに捉えられがちだが、英語ではいずれも「life」で捉えられ、この国に生き暮らす人々の「生命・生活・生存」を守るべき責任が政府にあることを憲法は示しているといえる。

対米関係の中で原発推進
 日本の原発政策は、1950年代前半の米ソを中心とした核軍拡時代にアメリカが構築したAtoms for Peace政策のもとで推進されてきた。原爆・原潜という軍事目的で開発された技術を原発に転用したため、元来「安全」思想がないという欠陥を伴っていた。

ドイツの原発政策転換
 連邦議会は全原発を2022年までに順次廃止し、再生可能エネルギーの発電量割合を現在の17%から2020年に35%、2050年に80%に引き上げる法改正を圧倒的多数で可決(6月)した。
 これらを可能にしたのは、チェルノブイリ事故(1986年)から25年目の節目で記憶が蘇っていること、「技術大国」日本でも制御不能になったことに深刻な受け止めがあること、そして市民の集会・討論・デモ・ネット等々が政府政策を動かす熟議民主主義ともいえる市民の意識の積み重ねがあげられる。

復興財源をめぐって
 原発事故被害には、東電の第一次的加害者責任と国策としての政府責任があるが、直接の被害総額25兆円に対して、「思いやり」予算協定による1兆円、「米軍再編経費」の日本側負担約1・1兆円、「防衛力整備計画(2011〜15年)」23兆9千億円などを財源とする「軍・復(軍事費削って復旧・復興に回せ)」運動を広げるべきと思う。

※当日の講演はこのあと日米同盟や国際情勢の中での憲法九条の項目があったが、「憲法のつどい」の次回(来年2月を予定)に持ち越しとなった。

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